Cクラスワゴンに超速試乗 ブルーテックHVも乗った
日本やアメリカではミニバンやSUVに押されほぼ絶滅種となりつつあるワゴンだが、ドイツではまだまだその存在価値が認められている。中でもミドルクラスではパサートのように80%近くのユーザーがワゴンを選択する機種も存在する。フリート、社用車として使用する場合、SUVは趣味っぽく、ミニバンではプライベート過ぎると調査の結果も出ているのだ。
今春発表されたメルセデス・ベンツ Cクラス(W205)もこの例に漏れず、パサートほどではないが20%以上をワゴンが占め、2007年発売の旧モデルはこれまでに40万台、モデルチェンジ直前の昨年でも5万台が世界市場に向けて出荷されている。しかし、世の趨勢はやはりSUVで、本国ドイツでも年々ワゴン市場はこの新種に浸食されてきている。
それゆえに今度のCクラス・ワゴン(S205)の開発担当であるクリスチャン・フリュー氏は「SUVに負けないワゴンを作ろうと思いました。」とその意図を強調していた。すなわちSUVにはない、タキシードでオペラハウスへ乗り付けてもマッチするエレガントなデザインと卓越した空力特性、そしてダイナミックなドライビングパフォーマンスを追求したと説明を始めたのである。
躍進するメルセデス・デザインの象徴的存在
まずデザインだが、これまで美しいワゴンと言えばアウディ・アバントがイメージをリードしてきたが、今回のCクラス ステーションワゴンはエレガントなだけでなくスポーティでダイナミックな印象を受ける。ゴーデン・ワーゲナーが率いるメルセデス・デザインチームは現在、業界をリードする存在だが、このモデルはまさにそのシンボルと言えよう。
エアロダイナミクスも、通常ワゴンボディはセダンと比べると後部に渦流が起き易く、Cd値で0.03程度は悪化するものだが、細部のリファインメントによってクラストップのCd=0.27へと低下させることに成功している。それにもかかわらずラゲッジルームは通常で490L、リアバックレストを倒せば1510Lにまで広がる。
また、アルミニウムの使用比率が従来の9%から49%にまで高められた結果、ホワイトボディの重量は最大で65kgも軽量化された。
まずはC250に試乗
搭載されるパワーユニットはセダンと同様、4気筒または6気筒のガソリンおよびディーゼル・エンジンで、全てがヨーロッパの排出ガス基準であるEU6をクリアしている。また、全車にECOスタート/ストップ機能を採用し、従来モデルから最大で20%の燃料消費量削減を果たしている。
試乗会はドイツのほぼ中央に位置するフランクフルト空港を出発点として北上、タウナス地方を中心に走った。まず選択したC250は、211ps(155kW)と350Nmを発生する2L直4 直噴ターボを搭載、7Gトロニックで0-100km/hを6.8秒、最高速度は244km/hに達する。
快適な乗り心地と優れた運動性能
テストコースは空港を出るとアウトバーンだが、低回転域から発生する豊かなトルクのお陰で躊躇する事なく、速い流れに乗ることができた。さらに加速を続け、およそ180km/hほどのペースで左車線を走る。ドイツのアウトバーンは夏期休暇に入ると工事が多くなり渋滞が発生するが、そんな時にはディストロニック・プラス(完全停止機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール)をセットすればイライラせずリラックスしたドライブも可能になる。
サスペンションは積載時を考えてリアのダンピングフォースを固めにしているが、乗り心地はほとんど影響されない。一般道路に下りても、ドイツには珍しい荒れた路面でも快適に走破することができた。さらにメルセデス・ベンツ Cクラスに標準装備されているメカニカル可変ステアリング・システムのお陰もあって、コーナーの連続する峠道でこのステーションワゴンはスポーツカーに勝るとも劣らない軽快で正確なダイナミック性能を発揮した。
アレルゲンフリーという新コンセプト
ところでこのTモデルにはパッセンジャーがキャビン内で快適に過ごせるよう、アレルゲンや環境ホルモンを排除している点が注目である。新しいエステートは、インテリアの直接手や身体が触れる部分の素材を徹底的にテストし、人体に無害なものだけを使用している。さらに、強力な外気フィルターを装備し、車内の空気をクリーンに保っている。この結果、ECARF(ヨーロピアン・センター・フォー・アレルギー・リサーチ・ファウンデーション)により、アレルギーを気にせずに乗れるモデルとして認められたのである。
第一日目の夜はダイデスハイムという観光地で過ごしたが、この地方の名物料理はザウマーゲン(豚の胃)である。ゲテモノ料理と思われるかもしれないが見た目と食感は意外にマトモで粗挽きソーセージのようだった。別に高価ではなく庶民的な元ドイツ首相ヘルムート・コールの好物であったのも頷ける。
C300 ブルーテック ハイブリッドにも試乗
翌朝挑んだのはC300ブルーテック ハイブリッドである。最高出力150kW(204ps)の直4ディーゼル・エンジンに20kW(27ps)を発揮する電気モーターを組み合わせたディーゼル・ハイブリッドは、100kmあたり3.8L(日本式に表記すると26.3km/L)という低燃費と、わずか99g/kmの低CO2排出量を達成する。
ディーゼル・エンジンは低回転域から強力なトルクを発生するので電気モーターを組み合わせるメリットが少ないと言われるが、このディーゼルHVはこうした先入観を覆す性能を発揮する。スタートダッシュは豪快で0-100km/h加速はカタログによればわずか6.4秒と、Cクラス ステーションワゴンの中では最も俊足だ。スロットル・ペダルに足を乗せるだけのようにゆっくりスタートすれば音無のEV走行も出来る。また、アウトバーンで走行中、100km/h前後のスイートスポットに入るとコースティング走行が可能だ。
すなわちここでもスタート時のように電気モーターのアシストだけで転がり、燃費を節約する。ただし維持するのは微妙なスロットルワークが必要で、ちょっと上り勾配になったり、わずかにスロットル・ペダルに乗せた足に力を入れると、エンジンが着火してしまう。しかしここでの切り替えはとてもスムースだ。
ディーゼルハイブリッドのCPは?
こうして上手く走れば100kmあたり3.8L、すなわちリッター当たり26km以上走る事ができる。ただし、これは新欧州サイクルというほぼ紙の上での数値の話で、実際はそうはいかないだろう。私のテスト車はせいぜい14-15kmというところだった。ゆえに、おそらく3000ユーロ(約45万円)以上高価になるC300 ブルーテック ハイブリッドが果たして割に合う買い物かどうかは疑問だ。(日本導入は未定)
この新しいCクラス・ワゴンだがドイツでは現時点から注文可能で9月13日にデリバリー開始となる。一方、日本市場には12月にまずガソリン車が上陸し、2015年8月にはディーゼル車も導入される予定である。また、導入当初は右ハンドルの後輪駆動モデルのみで、後日、左ハンドルの4WDモデル・4マチックが追加される。
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