ウクライナ、「NATO加盟」法案提出 露を牽制、反対の声も
【モスクワ=佐々木正明、ベルリン=宮下日出男】ウクライナのヤツェニュク首相は29日、北大西洋条約機構(NATO)へのウクライナ加盟に道を開く法案を議会に提出した。親ロシア派武装勢力への軍事支援を強化するロシアを牽制(けんせい)した形だが、国内の反対論も強いうえにNATO内にも温度差があり、先行きはまだ不透明だ。
法案は、親露派のヤヌコビッチ前政権時代に成立した他国との軍事、政治同盟締結を認めない「非同盟」状態を撤回するもの。アバコフ内相は「NATO加盟への道のりが開かれ、正しい選択だ」と述べた。
ただポロシェンコ大統領はこれまでNATO加盟に慎重な立場を表明してきた経緯がある。ロシアとの関係を決定的に分断する欧米との軍事同盟締結には、反対の声も根強い。
ヤツェニュク氏がNATO加盟を唱える背景には10月26日のウクライナ最高会議の総選挙を控え、「ロシアはウクライナに戦争を始めた」(ティモシェンコ元首相)などロシアへの対決姿勢を鮮明にして勢力拡大を狙う、有権者へのアピールがあるとの指摘がある。
インタファクス通信によると、ティモシェンコ氏とヤツェニュク氏が所属する政党「連合野党・祖国」は30日、NATO加盟の是非を問う国民投票の実施に必要な300万人分の署名を集める運動を始めた。
NATOのラスムセン事務総長は29日、ウクライナ議会が政策変更を決定した場合は尊重する意向を示した。NATOは2008年の首脳会議ですでにウクライナとグルジアの将来の加盟に合意していることを踏まえたためだ。
ただ、当時は加盟を目指したウクライナを米国が支持したのに対し、ロシアに配慮したフランスやドイツが消極的で加盟手続きまでは認められなかった。ラスムセン氏は同時に「政治的議論には介入しない」とも述べている。加盟問題は9月4、5両日、英国で開催されるNATO首脳会議でも、論議を呼びそうだ。
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