「妖怪ウォッチ」に学ぶ合理的ストレス解決術!
2014年空前の大ヒットとなったアニメ『妖怪ウォッチ』。古典アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』とはまた異質のシュールさとギャグ満載の明るさが、小さな子どもたちに大うけしているようです。そこでさっそく観てみたところ、意外にも心理学的エッセンス満載の内容にビックリしてしまいました。
カギを握るのが、個性的過ぎる妖怪キャラクターたち。たとえば、暗~いオーラを放ち、不快な雰囲気を醸し出す「ドンヨリーヌ」。何でもペラペラしゃべらせてしまうおしゃべり妖怪「バクロ婆」。覚えたことを忘れてさせる「わすれん帽」、外出を億劫にさせる「ヒキコウモリ」、ところかまわずオナラをさせてしまう「おならず者」……。日常に「あるある」な災いをもたらす妖怪たちが、実は、ストレス解決の意外な立役者となっているのです!
■日本人は「妖怪のせい」がお好き
そもそも日本人は昔から、妖怪と深い縁を持って生活してきました。「稼いでも稼いでも金がない」とぼやく子に、「そりゃ、貧乏神に取り憑かれとるんじゃ」とお清めの塩まきを勧めたり、かんしゃくを起こして泣き叫ぶ子のお腹をさすって「おや、ここに疳の虫がいるね。ちちんぷいぷい」と虫封じのおまじないをするなど、身近に起こる災いを「妖怪のせい」で片づけてきたのです。
論理性と実証性を重んじる現代社会では、そんな話など迷信に過ぎず、うっかり「妖怪のしわざかも」などと口走ったら、大笑いされてしまいます。ところがなかなかどうして、こうした妖怪たちによる解決効果が侮れないものなのです。
■「人間のせい」にしたところで何が変わる?
論理的に「何がその問題を起こしているのか」と原因追究していくと、身近な災いの多くが、「人間のせい」になってしまいます。
つまり、お金がないのは「貧乏神」のせいではなく、「稼ぎの少ない仕事しか見つからない自分」のせいになります。かんしゃくを起こすのは、「疳の虫」のせいではなく「神経質なこの子」のせいになります。
だからといって、貧乏な息子に「お前の努力が足りないからだ」と言ったところで、何が変わるでしょう? 「それなら今の3倍努力しよう」と奮起しても、どんなに頑張っても収入に結び付かない例など、ごまんとあります。泣きやまない子を「病院で治してもらえ」と言ったところで、何が変わるでしょう? 「小さな子にはよくあること」「いずれ治るよ」とあいまいなことを言われて、返されてしまうでしょう。
つまり、論理的に原因を探し、問題解決に着手してみても、思うような結果が得られないことなど、たくさんあるということです。
■貧乏神、疳の虫を追い払って、うまくいくこと
それならいっそ「妖怪のせい」にしてしまった方が、何倍も合理的だったりします。
貧乏神を追い払うために、毎日部屋を掃除して塩を撒いておけば、気持ちがさっぱりしてリフレッシュします。すると、友だちを招いてみたくなったり、花を飾ってみたくなったりして、貧乏であることも忘れて楽しく生活していけるかもしれません。疳の虫を鎮めるために、母から教えられた虫封じのおまじないを繰り返しているうちに、気持ちがすっと落ちついて、感情のコントロールが上手になるかもしれません。
ちなみに、問題を当事者から切り離すテクニックを、心理学では「外在化」と呼びます。何かの問題に苦しんでいる人に「あなた自身が問題なのではない。その『問題』があなたを苦しませているんです」と、問題を本人から切り離してあげると、本人はその問題から距離を置くことができるのです。
日本に古くから伝わる迷信やおまじないの多くも、外在化の発想だと言えます。「妖怪のせい」だと思えば、自分を責め過ぎてうつにならなくて済みますし、おまじないをせっせと試しているうちに、不安や苛立ちが落ち着いて、意外な形で問題が片付いてしまうことだってあるのです。
■「妖怪ウォッチ」は、子どもも大人も救う!
そこで「妖怪ウォッチ」。たしかに、このアニメに登場する妖怪たちの多くは、災いばかりを起こしている「困ったちゃん」かもしれません。でも、そんな妖怪たちがいてくれるだけで、片付く問題も多いと思うのです。
たとえば、部屋にこもってゲームばかりしている子に「外に出なさい!」「運動をしなさい!」と叱りとばしたところで、聞く耳すら持ってくれないでしょう。それより、「この部屋に『ヒキコウモリ』の気配を感じるなぁ。毎日3時に妖怪退治をするから、その間は外に出てて」などと言って、犬の散歩にでも行かせてしまえば、部屋にこもりっぱなしのライフスタイルを変えてあげることができます。
人前で思わずおならが出てしまった子が、「こいつ、くせ~!」などとはやし立てられているときに、「『おならず者』は、みんなのとこにも、いつやってくるかわからないよ~」などと一言伝えれば、おならをした子は失敗に泣かずにすみますし、はやし立てた子どもたちは「自分にも同じことが起こるのかも」と神妙になり、からかいをやめるでしょう。
妖怪を使った外在化は、子どもだましに思えるかもしれません。とはいえ大人だって、にっちもさっちもいかない状況を、「こりゃ、妖怪のせいかもな!」と考えれば、楽になることもあるのではないでしょうか? 何もかも「自分の責任」と考えて頑張りすぎるより、ときには「外在化」を上手に使って、発想の転換をしてみませんか?
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