【日本代表】キーワードは高さと将来性。皆川佑介、坂井達弥に続く「サプライズ」は誰が掴む?
坂井達弥
実績がない選手にもチャンスがあると受け取れる人選。
ついにハビエル・アギーレ新監督率いる新生・日本代表の初陣メンバーが発表された。その顔ぶれは、ブラジル・ワールドカップのメンバーから12名、代表復帰が6名、初招集が5名となり、アルベルト・ザッケローニ時代のお馴染みのメンバーから大きな変化が見られた。
坂井達弥
フレッシュな印象を与えているのは、もちろん初招集組だが、とりわけ大卒ルーキーのFW皆川佑介(広島)と、同じく大卒で2年目のDF坂井達弥(鳥栖)の招集は、最大の「サプライズ」と言っていいだろう。同じ初招集でも、ここ最近のJリーグでセンセーショナルな活躍を見せていた武藤嘉紀(FC東京)や、所属クラブですでに絶対的な主力となっている森岡亮太(神戸)、松原健(新潟)に比べれば、皆川と坂井のふたりは実績やインパクトの面で欠けていた。おそらく、ほとんどの人が選ばれるとは思っていなかったはずだ。
坂井達弥
皆川は今シーズン、リーグ戦7試合に出場し2得点。7試合中6試合が途中出場で、リーグ戦デビューからわずか1か月でのA代表初選出となった。一方の坂井も、今シーズンはリーグ戦出場がわずか4試合。しかも、8月23日のアウェー大宮戦が11試合ぶりの出場だったのだ。ともに数少ない出場機会で自らの特長を示し、見事にチャンスを掴んだ。
そのふたりの分かりやすい特長と言えば、やはり「高さ」ということになるだろう。186センチの皆川と183センチの坂井をはじめ、今回のメンバーには180センチ以上の選手が多く並び、格段に大型化した印象を受ける。この点だけをクローズアップすれば、アギーレ監督の狙いも「高さ」「空中戦」の強化にあるのは明白だ。
その一方でアギーレ監督は、8月11日の就任会見では将来を見据えた人選を行なうとも語っており、90年代生まれが約半数を占めた今回のメンバーにもそうした考えが、色濃く反映されている。90年生まれの坂井と91年生まれの皆川の選出も、4年後を見据えた人材発掘の意味合いを持っているのは間違いない。
キャリア不足は否めないとはいえ、「高さ」と「将来性」というふたつの共通点を持つ皆川と坂井が選ばれた。そう考えれば、さほど実績はなくとも彼らと類似したスペック(身長180センチ以上、90年代生まれ)を持つ選手にもまた、チャンスがあるとは考えられないだろうか。実際にこの条件を満たし、皆川や坂井と同じ大卒1、2年目の中にも、招集されてもおかしくない有力選手がいる。
川崎でレギュラーを掴む谷口は代表に近い存在か。
まず、皆川、坂井と同じ大卒の日本人選手で、1)180センチ以上、2)90年代生まれという条件を満たすフィールドプレーヤー(J1に限定)は8人いる。
DF/谷口彰吾(川崎)、牟田雄祐(名古屋)、岸田翔平(鳥栖)、藤井悠太(大宮)、小谷祐喜(C大阪)
FW/阪野豊史(浦和)、富山貴光(大宮)、松本大輝(甲府)
91年生まれの谷口は、ルーキーながらJリーグで優勝争いをする川崎で、序盤戦からレギュラーに定着したCB。今回のメンバーに推すサポーターや識者の声も多かった。182センチの長身を生かしたエアバトルや競り合いの強さもあるが、最大の武器は技術の高さ。正確なフィードはもちろん、プレスをかわす足技にも長けている。
名古屋で2年目を迎える牟田も、今シーズン12節からCBに定着した。序盤戦では、福岡大在学中で特別指定選手の後輩・大武峻に一時ポジションを譲っていたものの、その座を奪い返す逞しさを見せている。187センチの長身を生かした空中戦の強さはやはり魅力的だ。ただ、後輩の大武も188センチの大型CBで、上記の条件にも合致。先輩の牟田を抑えてポジションを奪っただけあってポテンシャルは高く、今後が楽しみなDFだ。
その他のDF、岸田、藤井、小谷はいまだ出場機会がなく、まずは所属チームでのアピールが先決になる。FWも同様で、3人いずれも今シーズンは得点がなく、空中戦に強い場面を見せられてはいない。富山は9試合にスタメン出場しているとはいえ、大宮の強力な助っ人ふたり(ムルジャ、ズラタン)の陰に隠れがち。彼らを押し退けてでも前に出る姿勢が必要かもしれない。
面白い存在なのが、甲府のルーキー松本大輝。谷口とは大津高の同期だ。いまだリーグ戦出場は2試合で計25分の出場にとどまるが、184センチの高さに加え、尋常ではないスピードを持つ。大学3年時には50メートル5秒7の記録を叩き出したというエピソードもあるほど(※日本記録は5秒75)。今後試合に絡んでくれば、間違いなく目立つ存在にはなるはずだ。
高校・ユース出身者に対象を広げると、さらに多くの隠れた逸材が。
さらに、対象を高校・ユース出身の選手にまで広げて、1)180センチ以上、2)90年代生まれという条件で検索すると、今回メンバーに選ばれた松原、森岡、扇原貴宏(C大阪)の3人を除き、24人が該当。以下、ポジション別に並べてみると――。
DF/大谷尚輝(広島)、北谷史孝(横浜)、福森晃斗(川崎)、昌子 源(鹿島)、植田直通(鹿島)、濱田水輝(浦和)、酒井高聖(新潟)、三浦弦太(清水)、鈴木大輔(柏)、中谷進之介(柏)、刀根亮輔(名古屋)、ハーフナー・ニッキ(名古屋)、高橋祥平(大宮)、西野貴治(G大阪)、岩波拓也(神戸)
MF/熊谷アンドリュー(横浜→湘南)、幸野志有人(FC東京→千葉)、野澤英之(FC東京)、磯村亮太(名古屋)、新井涼平(甲府)
FW/永井 龍(C大阪)、杉本健勇(C大阪)、鈴木武蔵(新潟)、柏瀬 暁(清水)
DFには実績のある選手が集中。なかでもロンドン五輪代表でA代表でも出場経験のある鈴木、ワールドカップの直前合宿で招集された昌子などは、いつ選ばれてもおかしくない面々だ。今後は、U-21代表の最終ラインを担う岩波や植田、U-19代表CBの三浦といった19-20歳の選手の台頭が注目される。
三浦に関しては、いまだ清水でのリーグ戦出場はゼロだが、大榎克己新監督が就任とともに早速21節の鹿島戦でベンチ入りさせている。U-19代表で4大会ぶりのU-20ワールドカップ出場権を勝ち取り、清水でも出場機会を得れば急速な成長曲線を描く可能性も否定できない。
MFでは、代表招集の経験がある磯村がいる。ただし、今シーズンは序盤戦こそスタメンに定着していたものの、下降線をたどったチームとともに調子を落としたまま。U-21代表の熊谷、幸野も所属元で出場機会を得られず、今夏J2クラブにレンタル移籍したばかりだ。FC東京の野澤も含め、まずは所属での出場機会の獲得が先決だ。
そうしたなかで、甲府で2年目を迎える新井は、19試合にスタメン出場。チームは15位(21節終了時)と低迷するものの、ボランチとしてチームを救う仕事ができれば、「サプライズ」の可能性は広がる。
FWは鈴木武蔵に注目が集まる。U-21代表の主力としても期待されるストライカーだが、所属の新潟ではエースの川又が移籍。その穴を埋め、新しいエースとして存在感を発揮できれば自ずと代表への道は開けてくるはずだ。永井、杉本のC大阪コンビも出場機会は得ているだけに、今後のアピール次第か。
今回、Jリーグでの実績も少ない皆川と坂井がアッと驚く初招集を叶えたわけだが、今後もこうした「サプライズ招集」がないとは言い切れない。少なくとも選出メンバーの傾向を見れば、ここに挙げた32人の若手にとっては、日本代表に食い込むチャンス到来の時期だと言える。
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