手作りの定義は? 仏レストランの新「自家製」認証、基準に異論も
【AFP=時事】フランス料理の精緻な食の伝統が国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産に登録された後も、フランスは自国の食文化を守るため全力を尽くしている。7月、フランス当局は国内の飲食店向けに「自家製」の認証制度を設けた。
新制度は、レストランで提供される料理について、自家製か、それとも冷凍食品など出来合いの料理なのかを厳格に区別するものだ。レトルト食品や冷凍食品を温めただけの料理を、いわゆる「レストラン価格」で出す店が増えているとの苦情を受けての措置だ。
これまでフランスでは、食品卸売業者から購入した調理済みのテリーヌやデザートでもメニュー上では「自家製」とうたっている例が少なくなかった。今後は「自家製」「手作り」といった表現は規制の対象となり、実際に店内で製造していなかった場合は、飲食店の経営者に最大2年の禁錮刑か最大30万ユーロ(約4000万円)の罰金が科される。
一方、シェフが一から調理しているレストランは、鍋と屋根をデザインした「fait maison(自家製)」の新ロゴマークを掲示して、その店ならではの味を宣伝できるようになった。
「この認証制度で全ての問題が解決するわけではないが、1つの勝利ではある」と、首都パリ(Paris)のレストラン「メディテラネ(Medi Terra Nea)」の共同創業者、ステファン・コルディエ(Stephane Cordier)氏は言う。「これで、他人が作った真空パック詰めの料理を温め直しているだけの店を見分けることが可能になる」
レストラン・ホテルの従業員労働組合「Synhorcat」の委託で昨年実施された調査では、フランス国内の飲食店の3分の1が、卸売りの加工食品を利用していると回答した。だが、世界に名だたる名シェフ、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏は、状況はもっと悪いと考えている。同氏は昨年、AFPの取材に、全仏のレストラン15万店の実に4分の3が、出来合いの料理しか提供していないと語っている。
■何を「自家製」とみなすのか、基準に異論も
新しい「自家製」認証制度では、主として「どのような食材をどのように使えば自家製ロゴマークの使用基準を満たせるか」が規制のポイントとなっている。冷凍・冷蔵された食材や、カット・皮むき・ミンチ済みの食材は、調理されていなければ規制対象から外れる。
ただし、ジャガイモは別だ。「たとえば、冷凍フライドポテトは今回の認証の対象に含まれない。つまりファストフード店のポテトは自家製と認められない」と、キャロル・デルガ(Carole Delga)消費問題担当相は説明した。
また、調理済みの食材でもパン、パスタ、チーズ、ワインなど「自家製」の料理に使用して構わないとされるものもある。
こうしたルールに眉をひそめる向きもある。レストラン客は通常、冷凍のカット野菜ではなく新鮮な野菜を使って調理することをシェフに期待しているからだ。
それでもコルディエ氏は新ロゴマークを支持し、カット野菜や冷凍肉でも旬のものは認証対象とするべきだと主張する。例として上げたのは、年に1度だけ、冬にしか解体されないイベリコ豚のハムだ。「イベリコ豚を1年中メニューに載せておきたかったら、冷凍するしかない」と述べた同氏は、カット野菜についても、調理時間の短縮になり料理の提供価格を安く抑える効果があると付け加えた。
だが、仏有力日刊紙ルモンド(Le Monde)が発行する雑誌「M」の料理専門家、JP・ジェネ(JP Gene)氏は、「自家製」ロゴマークを「いんちき」だと一蹴した。「今回の認証制度の話を聞いたとき、さいは投げられ、アグロビジネスのロビー活動が勝利したのだと理解した。あらゆる未調理の冷凍食材が、自家製の料理として認められることになる」
「自家製」認証制度は、多くの人が指摘するフランスのレストランの質の低下を食い止めようとする、より大きな取り組みの1つにすぎないのかもしれない。【
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