シリア、政権存続へ米欧と共闘模索
【カイロ=大内清】内戦が続くシリアのアサド政権が、同国で勢力を拡大させるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」との戦いで、対立関係にある米欧との共闘を模索している。ムアッリム外相は25日、米国などが対イスラム国でシリアへの関与を深めることを「歓迎する」と言明。そこには、国際社会でイスラム国の脅威が高まっているこの機に、「対テロ」の大義の下で政権存続を米欧に認めさせる狙いもある。
ムアッリム氏は「シリアが対テロ戦の中心地だ」と述べ、国際社会は政権と連携してイスラム国と対峙(たいじ)すべきだと強調。同時に、一方的な軍事行動は「敵対行為とみなす」と、政権との協力を現時点では否定している米国を牽制(けんせい)した。
同政権が国際社会に助けを求める背景には、独力でのイスラム国掃討が困難となっている事情がある。
アラブのメディアによると、イスラム国は、イスラム世界を治める「カリフ」復活を宣言後の7月、シリアで6千人超の戦闘員を新たに勧誘したとされる。
24日には北部ラッカ県のタブカ空軍基地を政府軍から奪取し同県全域を掌握。政府軍や自由シリア軍など反体制派組織と支配権を争う北部の主要都市アレッポでも攻勢を強めている。
今月、隣国イラクでイスラム国への米軍の空爆が始まったことで、イスラム国が主戦場をシリアに移しているとも指摘される。政府軍はアレッポ周辺のイスラム国拠点などを空爆しているが、攻勢を押し返すだけの戦力はない状態だ。
政権と対立する自由シリア軍や国際テロ組織アルカーイダ系「ヌスラ戦線」もそれぞれイスラム国と敵対し、劣勢に置かれている。
政権は内戦の過程で民衆デモ弾圧や住宅地の無差別攻撃を繰り返し、これを非難する米欧は反体制派を支援してきた。だが昨年以降、混乱に乗じてイスラム国が台頭したことで、政権が倒れた場合にシリアがいっそう流動化する国際社会の懸念が高まった。政権には、自分たちが同国安定に不可欠だと認めさせる好機ともいえ、対テロ協力を糸口に米欧の政策転換を促している格好だ。
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