ヒトラー著書「わが闘争」再出版で論争 禁書継続か、解説付きか
ヒトラーの著書「わが闘争」の著作権が2015年末に切れて再出版が解禁状態になるのを控え、ドイツでその対処が議論となっている。これまで“禁書”扱いされてきたとはいえ、読もうと思えば原書を読めるのが実態だった。当局は引き続き出版を阻止する構えだが、研究機関は学術的な解説を付けた出版計画を進めている。(ベルリン 宮下日出男)
旧西ベルリンの閑静な住宅街の古書店。男性店主(70)が戸棚のカギを外して取り出したのは「わが闘争」の原書だ。150ユーロ(約2万円)ほどで販売されているが、年に2、3冊が売れる程度という。
「わが闘争」は戦後、著作権を持つ南部バイエルン州が、極右が利用する懸念などから出版を認めてこなかったが、原書は古書店で扱われてきた。ただ、あからさまには陳列せず、同店が戸棚にしまっていたように、客が簡単に手に取らないよう配慮している。
「こんなばかげた本を読んで誰が影響を受けるのか」。大学時代に原書を読んだという店主は出版に問題はないとし、「歴史家の解説付きの本なら、なお良いかもしれない」と語った。
◆「爆弾の信管除去」
「解説付きの本」とは、ミュンヘンの現代史研究所が進める「わが闘争」の出版計画のことだ。
著作権が切れると出版は可能となるが、バイエルン州は悪用防止のため、学術的な解説を加えた新刊の出版を2012年4月に決めた。結局、州自体は昨年末に出版を断念。一方、作業を担っていた同研究所が出版計画の続行を表明した。
「この本はドイツ人にとりトラウマだ。正しい扱い方が分からず隅に追いやってきたが、解決すべきだ」
同研究所の出版計画の責任者であるクリスティアン・ハルトマン氏は、解説付き出版を目指す理由をこう説明する。
表向きは出版禁止なのに、全文をインターネット上で閲覧でき、海外では翻訳本も出回っているという「矛盾した状況」においては、ヒトラーの思想の問題点を明確にして啓発することの方が重要との見解だ。
新刊では教育、生物、遺伝学など幅広い分野の専門家の助言も踏まえ、逐一、反論的な注釈を加える。ハルトマン氏はこれを「爆弾の信管除去」にたとえた。
◆イスラエルで懸念
だが、ナチスに迫害された歴史を持つユダヤ人の不安は根強い。バイエルン州の方針転換の背景には、州首脳が12年に訪問したイスラエルで、強い懸念が示されたという事情がある。
同行した独ユダヤ人中央評議会のシャルロッテ・クノープロホ前会長は「多くの人にはドイツでの再出版が理解しがたかったようだ」と明かす。前会長も当初は計画を認めていた。著作権切れ後の野放し状態への対抗のためだったが、それも民衆扇動罪で阻止できるとの見方が強まり、計画は不要との判断に傾いた。
バイエルン州も同研究所の計画続行には理解を示すものの、他州とともに今後も再出版を押さえ込んでいく方針を決めた。
前会長は「『パンドラの箱』を開けたときの影響がどれほどか予測もつかない。どんな形でも出版すべきではない」と訴える。
これに対し、ナチス時代に詳しい歴史学者、ヘルマン・グラーザー氏は、主張が何度も繰り返される「わが闘争」を「すべて紹介する必要はない」としつつ、「解毒剤は必要だ」と解説付き出版の意義を認める。
反ユダヤ感情はドイツ以外の国にもあったと指摘するグラーザー氏は、むしろ権威に従順な傾向などナチス支配を生む土壌となった当時の社会状況に注目。解説に「精神史の見識を含めなければ、その利点はない」との見解も示している。
【用語解説】「わが闘争」…ヒトラーがミュンヘン一揆失敗後の獄中で執筆し、1925年に第1巻、26年に第2巻が発行された。反ユダヤ主義の思想のほか、「生活圏」獲得のための東方進出の必要性など独自の世界観などをつづっている。ナチス時代には「聖典」として扱われ、45年までの発行部数は約1000万部。著作権は第二次大戦後、ヒトラーが住所登録していたバイエルン州が保有してきたが、その死後70年となる2015年末に切れる。
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