【コラム】海外投資の足かせとなる韓国の企業所得還流税制
日本の失われた20年を克服する政策が「アベノミクス」なら、日本の前轍を踏むまいとする韓国政府の政策を「崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)ノミクス」といえる。景気浮揚政策はマクロ政策が一般的だが、崔ギョン煥ノミクスはさらに踏み込み、企業所得還流税制のようなミクロ的な解決策まで提示した。経済活性化に対する政府の意志に拍手を送るが、短期間の成果に集中しようと、企業経営に対する理解なく強行されるという心配が先立つ。中でも、すぐに内需に寄与しないという理由で企業所得還流税制の課税対象となった、投資であっても投資と呼べない、企業の海外投資が懸念される。
1968年に山林開発のためのインドネシア投資で始まった韓国企業の海外投資は、2000年の53億ドルから昨年は295億ドルへと急増した。大企業は海外投資を通じて販売市場を拡大し、生産基地を用意する。中小企業にとっても海外投資はコスト削減はもちろん、他国の労働集約的な産業に進出するステップとなる。
一部の人は、海外投資は国内産業の空洞化を招き、内需活性化に寄与しないと批判したりもする。しかし企業の海外進出効果は単純に企業単位で評価することはできない。海外直接投資は垂直的な相関関係を持つ国内生産の増加をもたらす。また、大企業の海外進出は中小・中堅協力企業の国内雇用と売上を増やす。同伴進出にもつながる。中国が持続的な内需成長のために企業の海外投資を国家レベルで支援しているのに注目する必要がある。
国内経済を活性化するためには、消費の増加とともに企業の投資拡大が必要だ。しかし懲罰的な課税ではなく、規制改革をはじめとする企業環境の改善を通じて、韓国企業および外国企業の国内投資が同時に増えなければならない。まず、2013年に122億ドルにすぎない韓国の外国人直接投資をシンガポールの637億ドル、香港の732億ドル水準に増やすためには、積極的な規制緩和が必要だ。米国政府は「リメーキングアメリカ(Remaking America)」という製造業再建政策を通じて税制優遇や移転費用を支援し、アップルやGEを含む100余りの製造企業の本国移転が起きている。
今年3月、韓国政府は「経済革新3カ年計画」の細部課題の一つとして、企業の海外進出を促進する政策を紹介した。しかし約5カ月後に発表された2014税制改編案には、海外投資を投資と認めない企業所得還流税制だけでなく、企業の海外子会社・孫会社に対する間接外国納付税額控除の縮小が含まれている。海外投資に対する政策の矛盾といえる。国内投資と海外投資をゼロサムで認識するより、企業の海外投資を促進し、グローバルチャンピオン企業を育成し、企業環境の改善を通じて国内および外国企業の韓国投資を増大させる方向で、一貫性のある政策が推進されなければならない。今後進行される税制改編案の議論過程で、海外投資に対する認識変化が見られることを期待する。
権泰信(クォン・テシン)韓国経済研究院院長
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