<ひょうきん族>神様役の芸人ら、認知症介護を劇に
1980年代の人気お笑い番組「オレたちひょうきん族」でブレークしたお笑い芸人、ブッチー武者さん(62)が、劇団「ZANGE(懺悔(ざんげ))」を旗揚げし、今月、認知症と介護をテーマにした初作品「生きる」を俳優座劇場(東京都港区)で上演する。2006年、京都市で息子が介護疲れなどから認知症の母親を殺害した事件をテーマに、福祉や家族の在り方を問いかける。
ブッチー武者
◇2日から上演「誰でも当事者に」
ブッチーさんは番組のコーナー「ひょうきん懺悔室」の神様役で人気を博したが、数年前にテレビの世界から遠ざかり、今は飲食店や芸能スクールを経営する。そんな中、父親が認知症になった知人から介護の大変さを聞き、京都の事件に興味を持ったという。
「生きる」の主人公の北島茂は、高齢の母サエと東京の下町で2人暮らし。夫に先立たれたサエは家賃を払い忘れたり、眼鏡が見つからなかったりと様子がおかしい。間もなく認知症と診断された。
ブッチー武者
「お父さんはどこ?」。いなくなった夫を捜し、徘徊(はいかい)も始まった。そんな母を、茂は仕事を辞めて献身的に介護する。「他人さまに迷惑をかけたくない」。親類や友人に助けを求めなかったことで、貯金は底を突き、カードローンも限度額まで借りた。最後に頼った生活保護も、「働ける人は働いてほしい」と役所に断られ、追い詰められた茂は母を手に掛ける--。
脚本を担当した芸人仲間の山口弘和さん(57)と裁判記録を読んだり、介護士の取材を進めたりして構想を練り上げた。サエ役は、女優の大信田(おおしだ)礼子さん(65)。事件と同じ時期に、京都市の実家で介護していた母をみとったといい、「ゆっくり寝る暇もなく、精神的にも大変だった。人ごととは思えない」と語る。
ブッチーさんは「時間がたてば、衝撃的な出来事でも忘れられてしまう。認知症や介護は誰でも当事者になり得る現在進行形の問題だと伝えたい」と語る。公演は9月2~7日。入場料は前売り券6000円、当日券6500円。問い合わせは「BMCエンタープライズ」(03・6903・7895)。
◇京都市の認知症母殺人
2006年2月、同市伏見区の男性(54)が、認知症の母親(当時86歳)の介護で生活苦に陥り、本人に相談した上で母親の首を絞めて殺害し、自分も包丁で自殺を図った事件。男性は承諾殺人などの罪に問われたが、京都地裁は同7月、「経緯や献身的介護に感謝した母親の心情に思いをはせ、刑の執行を猶予する」などとして懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役3年)を言い渡した。
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