焦点:ブラジル市場で株価急伸、拡大する「シルバ大統領」待望論
[リオデジャネイロ 28日 ロイター] - 10月のブラジル大統領選を控え、市場では、野党・ブラジル社会党のマリナ・シルバ元環境相の当選を待ち望む声が広がっている。
シルバ氏の能力を不安視する声もあるものの、現職のルセフ大統領への不信感が根強いことが背景だ。市場では「シルバ候補はロシアンルーレットだが、ルセフ大統領は全部弾が入ったリボルバーだ」といった冗談さえ聞かれる。
シルバ氏をめぐっては「発言が二転三転する」「経験不足」「経済を犠牲にして環境政策を重視する」といった懸念が市場で出ているが、世論調査でシルバ氏優勢の結果が出ると、株価が値上がりする展開となっている。
26日遅くと27日午前に公表された世論調査では、決選投票が行われた場合、シルバ元環境相がルセフ大統領を破る可能性が高いとの結果が出た。これを受け、27日のブラジル株は2%以上上昇。過去2週間の上昇率は10%に達している。
シルバ氏は、社会党が擁立していたエドゥアルド・カンポス氏が事故死したことを受け、先週大統領選に名乗りを上げた。アマゾンの貧しい家庭で育ち、10代まで読み書きができなかった。キリスト教保守派で、フェイスブック世代の都会の若者の間で熱狂的な支持を得ている。
ブラウン・ブラザース・ハリマン(ロンドン)のストラテジスト、イラン・ソロト氏は、シルバ氏をインドのモディ新首相にたとえ、「当選の確率は5割以上だ。シルバ政権が誕生すれば、市場にとっても、国全体にとっても、非常にプラスだ」との見方を示した。
<経済政策は顧問任せか>
ルセフ大統領は、貧しい世帯の多い北東部では社会政策が評価され、高い支持率を維持しているが、金融市場での評価は低い。
2011年の大統領就任後、平均経済成長率は年2%以下で推移、レアルは26%下落している。
株価は昨年3月時点で35%下落。その後は政策変更や政権交代への期待で反発しているが、それでも就任後の下落率は12%に達している。
金融市場が最も企業寄りとみているのは、野党・社会民主党のアエシオ・ネベス候補だが、世論調査では3位と低迷している。
シルバ氏は選挙戦で「改革派」「市場寄り」のイメージを打ち出しており、顧問には著名経済学者のエドゥアルド・ジアネッティ・ダ・フォンセッカ氏を起用した。
バークレイズの新興国市場アナリスト、マルセロ・サロモン氏は「シルバ氏が大物を顧問に起用したことで、市場に安心感が広がった。シルバ氏なら信頼できる」と語った。
市場では、政策顧問の顔ぶれを見れば、増税・減税を繰り返すなど経済に頻繁に介入したルセフ大統領の二の舞を避けられるとの見方も浮上している。
一部の情報によると、シルバ氏は金融関係者との会合で、当選した場合は「自分が理解できないことには手を出さないようにする」と発言。経済政策は基本的には顧問に任せ、環境問題、貧困削減、汚職防止など自分の関心が高い問題に専念する意向を示した。
ジアネッティ・ダ・フォンセッカ氏は、シルバ氏が当選すれば、ブラジル政府は、財政規律、インフレ目標、変動相場制へのコミットメントを取り戻せると述べている。
ただ、一部では、シルバ氏は柔軟性に欠けるとの不安の声もある。同氏が所属するブラジル社会党は議席が少なく、法案通過には主要政党との協調が必要になる。
バネック(ニューヨーク)の新興国債券ポートフォリオマネジャー、エリック・ファイン氏は「シルバ氏はルセフ大統領よりは良いだろうが、もっと経験のある人材が必要かもしれない」と述べた。
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